地を蹴り木の幹に身をぶつけるアリューとの距離を縮めナイフで斬りつける。
顔色1つ変える事のないアリューは身を屈めると迫って来たアンバーの腹に膝蹴りを入れた。
そして首を引っ掻き塞ぎかけていた傷口を開く。
再び血が溢れ痛みに顔を歪めながらもアリューに斬りかかる。
心臓を狙い、顔を狙い、腹を狙い、何度もナイフを振るい続けた。
しかしどの攻撃も当たる事はなく、掠り傷さえも与えられない。
悔しさから唇を噛みナイフを持ち替えた時だった。
「ぁ……くっ……」
突然息が出来なくなったのは。
違和感を覚え視線を落とすと、胸を貫く鋭い刃が目に入る。
改造された右腕は刃へと姿を変え、アンバーの胸の中心を貫く。
頬を黒血で汚しても表情を変える事などなく、更に深々と刃を突き刺し傷口をえぐる。
血を吐くアンバーは為す術もなく、握っていたナイフは地に落ちた。
脱力し、ダラリと両腕を下げアリューにもたれかかる。
意識が朦朧とする中で、彼女は1つの銃声を耳にした。

