空は雲に覆われて、冷たい風が吹き抜ける。


静まり返った町中には、月明かりも、部屋から漏れる光も無く、真っ暗な闇に包まれていた。



人々が寝静まる真夜中の事、1人外に出て煙草を吸うのはレグナード・ディ・ルーガン。


玄関先に腰掛ける彼は月のない空を見上げ煙を吐いた。





ふと何かに気付き、彼は物音のした方向へと顔を向け目を細める。


その青い瞳に映ったのは、暗闇の中足を引きずりながらふらふら歩く何者かの姿。



ブカブカのローブを羽織り顔を隠すその人物。


怪我をしているのか荒い息を吐く。




煙草の火を消し立ち上がったレグル。


声をかけようと近寄るが、その人物はレグルに気付くと後退る。




 「…嫌…だ……もう、嫌だ……あんな…所…には、戻りたく…ない……!」


震える声で言うと潜ませていたナイフを構えレグルに突っ込んだ。