不安そうなその表情に目を細め、彼は傍にあった彼女の手をそっと覆うと優しく握り締める。
「もし君が血に狂った時、正気を失ったその時は、俺が君を止めてみせる。絶対に誰も傷つけさせない。必ず君を救ってみせる。俺は君を殺さない、死なせたりしない」
そのスカイブルーの瞳は澄んでいた。
彼にこの命を託していいのではないかと、心は揺れ動く。
「正直、闇に抗い続けるのは辛い事だと思う。生きる事で、悲惨な過去を背負い続けなければならい事もわかってる。だが、その辛さに耐えきれなくなったその時は、俺に頼れ。俺で役不足なら、仲間に頼ればいい。君の周りには、沢山の仲間がいるのだから」
仲間、か…
今まで1人で生きてきた彼女。
仲間なんてものを作ろうなんて、思った事もなかった。
否、仲間というものを作る事なんて無理だと、そう思っていたんだ。
なのにそんな自分の周りには何時の間にか仲間と呼べる者達の姿があって、不思議と彼等と共に居る事が当たり前のよに感じるようになった。
そして少しずつ生きる喜びを覚え始め、死にたくないと、生きたいと思った事だってある。

