「貴様ーー!!」
コウガが怪我を負った事に関係しているであろう彼女につかみかかるレオン。
怒鳴りつけ胸倉を掴むと鋭く睨む。
「何を――!」
問いただそうと声を荒げるが、彼女の顔を目にした瞬間言葉を止め息を呑む。
赤い瞳に光はなく、血の付いた頬は濡れていた。
潤んだその瞳からは止めどなく涙が流れ、次から次へボロボロと零れ落ちる。
声もあげず泣く姿に、レオンもその他3人も驚き言葉を失った。
「…私が……私が、コウガを……コウガを……」
傍に居たレグルは泣きながら言う彼女を引き寄せ、涙で濡れる顔を隠すように自分の胸に押し付ける。
そしてシェイラに目で合図を送り、未だ泣き続けるクレアを彼女の部屋へと連れて行った。
シェイラは彼の合図に頷くとジークにコウガを運ばせ、難しい顔をしながら部屋の扉を閉め治療を始める。
「んぁぁーー!糞っ!!」
1人残されたレオンは大声をあげ、乱暴に頭をかくと壁を殴る。
深く息を吐き壁に背を預けると、クレアの消えた部屋へと目をやり、次にコウガの部屋へと目を移す。
じっと閉じられた扉を心配そうに見つめ、無言で見守り続けるのだった。

