Blood Tear



跳んだ瞬間、地に突き刺さる鋭い刃。

何者かの乱入に舌打ちをする彼は短剣を手に取った。




 「邪魔、しないでくれるかな?」


ロープを切りクレアを下ろすのは茶髪の男性。

彼女の状態を確認すると悔しそうに唇を噛む。




 「…貴様ーー!」


スカイブルーの瞳で睨み斬りかかるのはコウガ。

その瞳は怒りで満ちている。




 「面倒だな……」


振り下ろされた剣を軽く交わすが、次いでやってきた突きには対処しきれず横腹を刃が掠める。


血が滲むローブを見つめると、コウガの素早い攻撃に目を細めた。



間髪いれず繰り出される剣戟を素早い身のこなしで避けると、剣を握り直した一瞬の隙にコウガの後ろに回り込む。




 「背中がら空きだよ?」


 「…っ……糞っ……!」


すぐさま反応し、振り返りながら剣を振るう。


一度彼から離れ息を整えるコウガ。


血が流れる肩へと一瞬目を向けるとフリードを睨む。



しかし、前方へと目を向けた瞬間猛スピードで飛んでくる数本の短剣が目に入った。


剣を地に差し反動をつけると身を捻りながら宙を舞う。



全ての短剣を交わすが、獲物を捕らえ損ねたそれは軌道を変え、空中で身動きの取れない彼を斬り裂いた。