Blood Tear



 「何者です、貴方?」


襟を掴んだまま顔を近づけ問うと、彼はジークを睨み口を開く。




 「…俺達はこの町の住民だ……」


昨晩襲われた町の住民と言う彼は生き残りと言う事。

しかし何故自分達を襲ったのか。

昨晩の敵と勘違いでもしたのだろうか。




 「何故襲ってきた?」


 「お前達がライアの敵だからだ」


彼の言葉に目を細めるコウガ。

ライアの敵と言う事は、彼らは彼の仲間であるという事。


ならば何故ライアは町を襲った?


様々な疑問を抱いていると、レオンの捕らえる男の内1人が話し出す。




 「俺達はこの町の奴隷。人間として扱われなかった存在だ。そんな俺達を彼が救ってくれた。奴隷を扱うこの町を滅ぼし、俺達奴隷を解放した。だから俺達は彼の為に戦うと決め、お前達を襲ったんだ」


思い詰めているような物言いの彼。

救ってくれた彼に感謝するのは当然だが、だからと言って人を襲うべきではなかったと、彼は考え直していたようだ。




 「ライアと言うのは?」


 「黒いローブを着た人物。フードを目深に被っていたから、人相まではわからない……」


ライアの事を深くは知らないらしい。

救ってくれた彼の為、彼等は独断で行動していたようだ。