動揺するシエンは男の胸から短剣を引き抜くと、赤く染まった刃を瞳に映し目を見開く。
「ウィズ!」
胸を刺された男はバランスを崩し、意識を失った彼は階段を転げ落ちて行く。
レオンに捕らえられていた男は油断していた彼を振り払うと倒れ血を流す男の元へと駆け寄った。
男を抱き起こすとシエンを睨み、彼を治療する為姿を消す。
血に染まる短剣をシエンは手放し恐怖に目を見開きながら両手で髪をぐしゃりと掴む。
赤紫の髪を血で染めながら、座り込む彼女は逃げるように目を瞑る。
「貴女には、もうこれ以上辛い思いをさせたくない。だから……」
「五月蝿い!やっと手に入れたんだ…ディアルド家の者である証を……父様や母様の娘である証を……」
歩み寄るリオンだが、彼女の言葉に足を止める。
髪色も瞳の色も異なる彼女の心の叫び。
実の娘ではないと思い込む彼女が求めていたもの。
それはディアルド家の娘であるという証。
その証である神の瞳を手に入れ、望みの叶った彼女は何が何でもこの瞳を死守するつもりだ。

