とりあえず私達は、翔太の言っている事を確かめるために、教室に向かう事にした。


翔太の後に付いて、教室に入った私達。


一見すると、大した変化もないようだけど、翔太はどこを見て様子がおかしいと言っているのだろう?


クラスメイトが、少し違った場所で雑談をしている事は想定内だし、特にこれといっておかしなところはない。


「翔太、どこがおかしいの? こんなのいつも通りじゃない?」


理恵がそう言った時だった。


一番前の席に座っていた遥がその声に気づいたのか、ゆっくりと立ち上がり、こちらに向かって歩いてきたのだ。


その表情は、いつものような無表情ではない。


ニコニコと笑っていて、いつものような不気味さがない。


でも、逆にそれが不気味で……。


私達の誰もが保育園の頃から知っている遥。


みんなの記憶の矛盾が起こっているのだから、不気味としか言い様がない。


その遥が迫ってきて、私達の前で立ち止まったのだ。


「な、何よ……こんな朝っぱらから頼みに来たっての!?」


遥の肩を押し、留美子が怒鳴りつける。


すると、クラスメイト達が留美子の方を見て、口々にその行動を批難し始めたのだ。


「おいおい、遥は何もしてないだろ? イライラするなよ留美子。あ、もしかして生理か?」