カラダ探し

それとは正反対の、情けない翔太の姿。


ようやく眼鏡を直し、旧校舎の方へと向かって歩き出した。


「外にいると、校内放送が聞こえないから気をつけなきゃね」


私がそう言った瞬間、前を歩くふたりが振り返って私を見る。


「明日香、今なんて言った? 校内放送が聞こえない?」


「あ、あれ? 誰からも聞いてないの? だってさっき、図書室の上で翔太が校舎の中の音を聞いてたじゃん。だからてっきり知ってると思ってた」


「俺も聞いてねぇぞ。それだと、旧校舎に行った時に『赤い人』がいるかもしれねぇんだろ?」


翔太と高広に、どう言って良いかわからず、私は苦笑するしかなかった。


ここまで来て、どうこう言っても始まらない。


私が言える立場じゃないけれど、そうして旧校舎の前にやってきた。


新校舎とは違う、さらに不気味な旧校舎。


その玄関は、留美子達と来た時とは違い、まるで私達を飲み込もうとしているかのように、開いていたのだ。


「入れないんじゃなかったのか? また俺達に話してない事があるんじゃないだろうな?」


「本当に見えない壁があったの! 新校舎に入る前に行った時は!」


絶対に玄関のドアは閉じていた。


そうじゃなかったら、絶対に中を調べてる。


「まあ、どっちでもいいだろ。行くなら行こうぜ」