新校舎に、もう調べる場所はないから、何人もここに残っても仕方がない。


皆、思う所はあるだろうけれど、じゃんけんで決めるなら文句も言えない。


「じゃあ行くぞ! 最初は……」


翔太の言葉に、私は手を握り締めた。









「じゃあ明日香、頑張ってね!」


綱のもう一方の先端に輪を作り、その中に身体を通している私に、笑顔の留美子が手を振る。


他人事だと思って……簡単に言ってくれるよね。


じゃんけんに負けた私が悪いんだけど。


私が何日か前に転落した場所の柵を避けて、違う場所から降りる事にした。


「ゆっくり降ろしてよね。すごく怖いんだから……」


降りる準備はできたけど、どう降りればいいのかな?


支えてもらっているけれど、飛び降りる勇気なんて私にはないし……やっぱり、引っ張ってもらいながら屋上の縁に座って、ゆっくり降ろしてもらうしかない。


「ふぅ……じゃあ、行くからね。支えてよ」


屋上の縁に乗ってみたけど、脚が震える。


柵を持ちながら腰を下ろし、脚を縁から出して溜め息をついた。


「任せとけって。早く降りろよ」


高広のその言葉に後押しされて、私は屋上の縁から身体を滑らせた。