廊下の角で止まり、目を閉じて音を聞いた。


本当に、不思議なくらい静かな廊下。


今までの事を考えると、不自然なほど「赤い人」の恐怖を感じない。


校内放送の間隔が長い事も、これに関係しているのかな?


などと考えながら、私は西棟の廊下を横切った。


その後も、翔太、理恵、留美子と廊下を横切り、立てた作戦通りに西棟の屋上にたどりつく事ができた。


ここまで順調だと、何かあるんじゃないかと思ってしまう。


でも、ここまで来たら、考えていても仕方がない。


「それで、誰が降りるんだ?」


綱の先端を柵に巻き付け、それを引いて、安全を確めていた高広がたずねた。


「私は嫌だからね! 旧校舎なんかに行くのは!」


誰だって、行きたいとは思っていないよ。


留美子がそう言うなら、私だって行きたくない。


「ダメだ、公平にじゃんけんで決めよう。カラダが3つあると考えると、3人は欲しいな」



降りるのは3人、残るのはふたり。


カラダひとつに対してひとりという事ではないらしい。


カラダをひとつ見つける度にひとりがここに走り、カラダに綱を巻き付けて引き上げてもらう。


そして、それをカラダが3つ見つかるまで繰り返すというのだ。