ホールドされたままでの告白、男の痛そうな顔。 あたしが今まで見てきた世界の景色とは違って動揺して。 「やだッ、放してよ」 必死に身を捩って改札をくぐり抜ける。 流石にそこまで男はついてこなくて。 「何なのよ……」 呟いてあたしはいつものようにスマホを見る。 この時間があたしにとっての至福の時間だったりする。 こんな小さい幸せがずっと続けば良いのにと、ありえない願いに身を任せるように、あたしは電車に乗り込んだ。