別に初物が嫌いだとか、そういうのはない。 むしろ美珠の初めてなんて喜んでもらいたい。 けれど……。 「怖い、んでしょ?美珠ちゃんをこっちの世界に……“闇”に引きずり下ろすのが」 図星を突かれて困惑する俺に、千煌は笑ってみせた。 その綺麗な笑顔の裏に毒を、孕ませて。 「これだから美珠ちゃん、苦労するのよね……」 「あ?なんか言ったか?」 ぼそりと呟かれた毒は聞き取れず、代わりに更なる毒を盛ろうとする千煌。 美珠の彼氏やってた頃もこんなんだったのだろうか。