11時になった。

クーラーの効いた部屋から出て、油蝉のうるさい公園へと向かう。


どうせまだ彼はいないけど、家にいても何もすることがない。

たった今外に出たばかりなのに、もう汗が吹き出ている。

今日は35℃を超える猛暑だそうだ。


真っ昼間だというのに、公園には誰もいない。

この公園は不良の溜まり場だから、しょうがないかもしれないけど…


「…あれ?」


誰もいない、と思ったのに。

木陰に誰かがしゃがみこんでいた。


茶色い髪
大きな背中
白い服――…



『彼』だ…!



私が近づくと、彼はしゃがんだまま振り向いて、にっこり笑った。

何してるんだろう?

こんなに早くから…