―――そのとき。 「…奈央…ちゃん…?」 コツ、コツ、とロビーに響くヒールの音。 優也のお母さんが、そこにはいた。 なんて声をかければいいんだろう… そう思って黙っていたら、不意に、優也のお母さんが口を開いた。 「よくのこのこ来れたわね」 「………え?」 明らかに憎しみがこもったその声に… 私は、反応できなかった。