「ああ…?誰だよテメェ」

「誰でもいいだろ!奈央を離せよ!!」


先輩は舌打ちをして私を乱暴に優也に向かって突き出すと、屋上から出ていった。

瞬間、身体が震え出した。


「優…也…」

「奈央、大丈夫か?まだ朝だけど…保健室行くか」

「…うん」


怖かった。

ものすごく、怖かった。


「お前さ、結構色んな奴らに狙われてるから…気ぃつけろよ」

「…なんで?」

「そりゃ……」


優也は少し遠慮がちに私をチラリと見やると、小さく呟いた。


「今までは蒼太って彼氏がいたから近づいてこなかったけど…いなくなったってことはお前今、フリーだろ?

お前この学校じゃ…か、可愛いって有名だから…こーゆーとき狙ってた奴いっぱいいるんじゃねぇの?

弱った心に漬け込んで…みたいな」


…意味、わかんない。


やっぱり、わかんないよ……



「なんでそんなこと…出来るの」



おさまっていた涙がまた溢れだして――

私は顔を手で覆った。