「あとは…牛乳か」


お母さんからもらったメモを片手に、私は食品売り場をうろうろしていた。

外が暑かったせいか、ショッピングセンターの中は少し肌寒く感じる。

はやく買い物を終わらせようと、足を速めた。


「あ、あった牛乳」


いつも飲んでいる牛乳を手に取ると、かごの中に放り込んだ。



―――そのとき―――







「アイツ、榊 奈央じゃない?」



後ろから聞き覚えのある声が聞こえて、背筋が凍った。




榊 奈央―――



私の名前だ。


私の名前を知ってる奴なんて――――