食パンを食べ終えると、玄関に向かった。 真っ黒な髪をポニーテールに結って、黒のローファー靴を履く。 紺色の制服に赤いチェックのネクタイ。 少しは大人らしく見えるかな。 鏡の自分と目が合った。 少しだけ口角を上げ、玄関のドアに向き直る。 「じゃ、行ってきます」 「気をつけて行きーや?」 母さんの笑顔に、満面の笑顔を返して家を出る。 家の外、長い散歩道では蝉達が大合唱を繰り広げていた。 私はその道を軽快に駆ける。