県内、ゴミ屋敷、女性で検索した。すると、掲示板みたいなスレがヒットし、何人かの投稿を過ぎた辺りで、一人の女性のフルネームが顕になった。

 道路にゴミを積み上げ、逮捕されたと書いてあるが、どうやら彼女は釈放されているみたいだ。住所を見ると隣のもう一つ隣の市内である。この程度の距離なら近過ぎることも無くちょうど良いだろう。ゴミ屋敷の中でこの女とイチャイチャするが良い。私は携帯に名前と年齢と住所を記録した。

 翌朝、義也の出勤に手を振った。それが余程嬉しかったのか、顔をしわくちゃにしながら手を振り返していた。 
 私は、義也の姿が見えなくなるとすぐに車に飛び乗った。
 二度目の経路にはナビは必要なかった。時間も幾分か短縮されたようだ。 
 昨日と同じ場所に車を停めると小走りで玄関の引き戸を開いた。 

「おはようございます」

 昨日の今日なのに、やっぱり二度目の挨拶の途中で彼女の姿は軋み音を連れて現れた。

「決心がついたと見えるが」 

 彼女の言葉に強く頷いた。 

「二人の名前です」

 そう言って携帯の画面を見せた。 

「では、これに書いて貰おうか」

 目の前に一枚の紙が差し出された。

「くれぐれも希望する日にちを書き忘れないように」
 
 私は、これにも深い頷きで返事をした。