先輩の手(と言うより腕)
を振り払った私

『いつからだろう…』

私と舜也先輩は幼なじみ
家が近いんだけど

私が一回引っ越してるから
長らく会ってなかったんだよねぇ

小さい頃は
『琳ちゃん』
『舜ちゃん』
で呼びあってた

大きな公園の大きな木

木登りして降りられなくて
泣いてた私を助けたのは
舜也先輩だったなぁ…

「琳っ!!」

不意に呼ばれた私の名前
俯いて考え込んでいた私は
はっとして顔を上げた

目の前にはニンマリと
口角を上げた
舜也先輩がいる

「はい。琳ですが…」

「琳…ちゃん??、怒った??」

「はぁ??」

舜也先輩は不意に
私の手を握った

「えっ!?」

私は手と舜也先輩を
交互に見上げ

「何ですか??先輩!?」

「行くとこあるから
引っ張られてて…」

舜也先輩はそれだけ言うと
宣言通り手を引っ張って
どこかに向かっている

すれ違う生徒たちに
ジロジロ見られるのは
ものすごく不快である…