一度、二度、三度、強く頭を左右に振った。 

「駄目よ、駄目。これは駄目なのよ。お願い、消えてよ亜希美」

 心の奥で叫んだ。だが、身体はその場を離れようとはしない。膝の上に大きな岩でも乗せられているかのように重く微動だにしなかった。