そうだ。笑うがいい。そうやって気が済むなら、とことん笑えばいいだろう。 
 私は、嫌々ながら立ち上がったインターネット上を夢遊病のように彷徨った。
 いくつもの街の灯りが点いては消え、そしてまた点いてはボンヤリと暗闇の中に溶けていく。

 数えきれない程の街を過ぎた時、ふと右手の動きが何かを察知したように止まった。 

 縁結び神社・・・・

 何故なのだろうと思った。神社が縁結びをする。それは至って不思議でも何でも無い。神社で挙式をするのも古くからの習わしなのであるから。だが、ここに訪れた信者には必ずや御利益があるという謳い文句は、正常な神経が麻痺する深夜には打って付けだった。 麗子は、夜が明けるのを息を殺すようにじっと待った。 

 幸いにも、縁結び神社はそう遠くでもなく、車で一時間を少し切る程度の所にあった。未踏の地でもナビさえあれば何処にでも行ける。県内の土地勘に疎い麗子には必要不可欠な強い味方であった。 

 峠を二つ程越えたであろうか。細い一本道には行き交う車は殆んど無かった。 小さな農村のような集落の先の小道に入り、そこをニキロ程ゆっくりと進んだ突き当たりにひっそりと佇んでいたのだ。 

 車を四台も停めれば満杯になりそうな土の地面のままの小さな駐車場。そこの一番奥に車を停めた。入り口は通りすがりに見つけたあそこだろう。麗子は助手席のバッグを掴むと、腰を少し折りながら低い姿勢で入り口に向かった。