素敵な上司とキュートな部下

「医者って、嶋田君が?」

「そうだよ。まだインターンかな」

「そんな訳ないじゃない。彼は私の部下なんだから……」

「え? あいつ、姉貴と同じ出版社で働いてんのか?」

「そうよ」

「なんで?」

「知らないわよ、そんな事……。あ、“本が好きだから”って言ってたかも……」

「おかしいなあ。医者になって親父さんの病院を継ぐはずだったんだけどなあ」

「そうなの?」

「ああ。あいつの家は地元の旧家で、代々そこそこの病院を経営してるそうだ。で、あいつも医者になって後を継がなきゃって、確か本人が言ってたはずなんだけどなあ」

「そうなんだ……」

「親父さんと喧嘩でもしたのかな」


それで家を出て、アパートに一人暮らしなのかもしれない。加奈子はそう想像してみた。


いずれにしても、思わぬ時に思わぬ相手から大輔の情報が聞けて、加奈子はちょっと徳したような気分だった。