「そう言えばさ、加奈子は異動したらどっちを担当するの? 書籍? それとも雑誌? 外販や宣伝って事はないよね?」
外販は書店周りの営業だが、内勤をしていた加奈子がいきなり外回りとは考えにくい。宣伝は、POPやチラシなどの販促物を作製する部署だが、加奈子には畑違いと思われる。
比較的内勤が多い書籍または雑誌の営業を、加奈子は担当するのだろう、と志穂は考えていた。
「書籍よ。私の経験を活かせるのは、書籍営業の方だから……」
雑誌は、基本的には在庫管理をしないため、加奈子の流通での経験は殆ど活かされない。
「そうよね? という事は……大輔君は加奈子の直属の部下、って事ね?」
「あ、そうなる、かあ……」
「うふ。素敵な上司とキュートな部下に挟まれるわけか。楽しみね?」
「もう、志穂は気楽よね? 私はそれどころじゃないわよ。新しい職場で、しかも営業経験なんてまったくないんだから、不安でいっぱいよ?」
「加奈子なら大丈夫だって。香川さんが優しく教えてくれるだろうしね」
「だといいけどね……」
香川が加奈子に言った、『(営業については)僕がじっくり教えてあげるから』の言葉を思い出した加奈子だが、それを言うと志穂からますます焚き付けられそうで黙っていた。
(本当に大丈夫なのかな、私……)
外販は書店周りの営業だが、内勤をしていた加奈子がいきなり外回りとは考えにくい。宣伝は、POPやチラシなどの販促物を作製する部署だが、加奈子には畑違いと思われる。
比較的内勤が多い書籍または雑誌の営業を、加奈子は担当するのだろう、と志穂は考えていた。
「書籍よ。私の経験を活かせるのは、書籍営業の方だから……」
雑誌は、基本的には在庫管理をしないため、加奈子の流通での経験は殆ど活かされない。
「そうよね? という事は……大輔君は加奈子の直属の部下、って事ね?」
「あ、そうなる、かあ……」
「うふ。素敵な上司とキュートな部下に挟まれるわけか。楽しみね?」
「もう、志穂は気楽よね? 私はそれどころじゃないわよ。新しい職場で、しかも営業経験なんてまったくないんだから、不安でいっぱいよ?」
「加奈子なら大丈夫だって。香川さんが優しく教えてくれるだろうしね」
「だといいけどね……」
香川が加奈子に言った、『(営業については)僕がじっくり教えてあげるから』の言葉を思い出した加奈子だが、それを言うと志穂からますます焚き付けられそうで黙っていた。
(本当に大丈夫なのかな、私……)



