素敵な上司とキュートな部下

「だとしても、僕の勝ちには違いないですよね、主任?」


穂奈美を抱っこしながら、大輔は満面の笑顔を加奈子に向けた。


「“勝ち”ってどういう事よ? 別に勝負したわけじゃないし……」


加奈子はその笑顔にドキッとしながら、俯き気味にそう反論したが、


「えー? 立派な勝負だと思うけどなあ。ですよね、志穂さん?」

「そうねえ、確かに勝負と言えなくはないわね?」

「志穂……?」

「ですよね? 主任、潔く負けを認めましょうよ……」

「わ、分かったわよ。でも、だからどうだと言うの?」

「ご褒美を戴きます」

「ご褒美?」

「はい。えーとですね……」


と言いながら、大輔は加奈子の耳元に口を寄せた。


「ひゃっ」


不意な大輔の仕草に、思わず変な声を出した加奈子。


「主任の……を僕にください」


耳に掛かる大輔の吐息と囁くような低い声に、加奈子の背筋をゾクゾク、あるいはゾワゾワという感覚が走った。それは悪寒に似て、しかしそれとは正反対な感覚だった。


そして、

「いいですね?」

と大輔に囁かれ、

「う、うん……」


軽いパニックに陥っていた加奈子は、反射的に頷いてしまうのだった……