素敵な上司とキュートな部下

「じゃあ、私からいいかしら?」

「どうぞ」


加奈子は斜め前の穂奈美に向かって両手を伸ばした。「穂奈美ちゃん、お姉さんの所に来て〜」と、猫なで声を出しながら。

しかし穂奈美は、ムスッとした顔で加奈子を見上げるだけだった。


(今日の穂奈美ちゃんは一段と手強そう。嶋田君だって絶対無理だわ)


「穂奈美、加奈子お姉さんに抱っこしてもらおうな?」


加奈子は祐樹から穂奈美を受け取り、その幼い体を腕で抱きとめたが、穂奈美は小さな手で加奈子の胸を押しやり、完全抵抗の構えだ。


「穂奈美ちゃん、この間も来たでしょ? お姉ちゃんの事、忘れちゃったの?」


と言ってみても、それで事態は好転する訳もなく、穂奈美は今にも泣き出してしまいそうだ。


「次は僕でいいですか?」


大輔に言われ、加奈子はそこでギブアップした。