素敵な上司とキュートな部下

「あんた、真顔で何言ってるのよ……」

「ダメ?」

「ダメに決まってるでしょ?」

「なぜ?」

「第一に歳が違い過ぎるでしょ? えっと、いくつ違いになるのかしら……」

「8つよ。私と祐樹の差と一緒だから」

「ああ、そうだね。ごめん。志穂は歳より若く見えるからいいけどさ、私は……」

「あら。加奈子だって若いわよ?」

「そんな事……」

「ううん、そんな事ある。加奈子はまだまだ若々しいし、可愛いわよ?」

「そんな事ないって……。ううん、それ以前の問題だわ。嶋田君と言えば、社内のアイドルなのよ。分かるでしょ?」

「そんなに人気あるの?」

「あるある、もの凄い人気よ……。本当は神林君と人気を二分するところだけど、神林君は結婚しちゃったし、愛妻と愛娘の写真をパソコンの壁紙にするぐらいの愛妻家で有名だからね……」


皮肉っぽく加奈子が言うと、


「え? 祐樹ったら、そんな恥ずかしい事をしてるの?」


と言いながらも、嬉しそうに顔を赤らめる志穂だった。


「そうよ? そんなわけだから、嶋田君が女子の人気を独占しているわけ」

「そこを頑張ってさ……」

「頑張っても無理。ぜーったいに、無理!」


(香川さんと言い嶋田君と言い、どうして志穂は高嶺の花ばかり言うんだろう……)