月報のチェックは、もちろん加奈子はした事がない。香川や大輔から教わってもいない。月報そのものはよく目にしていたが。


従って、何と付き合わせてチェックするのか分からないし、何をどこまでチェックするかも加奈子は分からなかった。


人に聞けば良いのだろうが、当の西村には聞きたくないし、課長の小林とは普段ほとんど喋らないだけに聞きづらい。

美由紀は、本来は聞きやすい相手なのだが、その日の彼女は出張中の大輔のルーチンもこなし、気の毒なくらいに忙しそうだったため聞けなかった。


(まあ、いいわ。時間はたっぷりあるんだし、ゆっくりやろうっと……)


付き合わせるべき資料を何とか探し、どこをチェックするのか分からないから、全部のチェックを加奈子は始めた。

そのため、慣れた大輔なら小一時間で終わる作業が、2時間経った今も終わっていなかった。


と、そこへ、コツコツという、人が歩いて来る音がした。