素敵な上司とキュートな部下

二次会もお開きとなり、ホテルのビルを出た所で解散という事になった。日付は変わっていないものの、かなり遅い時間になっていた。


「えっと、俺は地下鉄なんでこっちだけど……」

「あ、私もです」


と、香川と美由紀が言うと、


「僕はJRなんで、こっちです」


と、大輔は香川達とは別の方向を指差した。最後は加奈子なのだが、


「私もJRです」


と小さい声で言った。なぜ小さい声かというと、大輔と一緒という事に後ろめたさを感じたからだ。もちろん美由紀に対して。


加奈子は、美由紀が僻みはしないかと心配したが、それは取り越し苦労だったようで、美由紀は笑顔で「お疲れ様でした」と言い、ペコっとお辞儀をしていた。


(なんだかなあ。下手にあの子の気持ちを知っちゃって、しかも“協力する”なんて言ったから、余計に嶋田君を意識するようになっちゃったみたい……)