素敵な上司とキュートな部下

「確かにそれはあるわね……。あ、その前に大事な事があったわ」

「え?」

「嶋田君って、彼女はいないのかしら?」


いくら美由紀が想いを寄せても、相手の大輔に彼女がいたらダメだ。

加奈子の記憶では、志穂はその事には触れなかったと思う。ただ、加奈子に彼を勧めるぐらいだから、たぶん大輔に彼女はいないのだろうと加奈子は思った。

だが……


(嶋田君はあんなにキュートでモテモテなのに、彼女がいないなんて有り得るのかしら……)


という疑問もあり、それは拭い難かったのだが、


「いないそうです」


美由紀によって、あっさりと否定された。


「誰から聞いたの?」

「先輩本人からです。実際にそんな素振りは全然ないし、たぶん本当だと思います」

「そうなんだ……」


それを聞いた加奈子は、意外だなと思いつつ、なぜかホッとするのだった。