素敵な上司とキュートな部下

「ランチと同じ顔ぶれになっちゃいましたね?」

「そのようだな」

「部長、どこへ行きますか?」

「そうだなあ、この人数なら……」


香川は携帯を取り出すと、どこかへ電話を掛け始めた。そして二言三言話すと通話を切り、


「俺に付いて来てくれ。ちょっといい店に行くから」


と言った。もちろん3人に異論はなく、香川に付いて歩き始めた。


「主任……私なんかも行っていいんでしょうか?」


前を香川と大輔が並んで歩き、加奈子と美由紀はその後ろを並んで歩いていたのだが、加奈子より少し背の低い美由紀が、頼りなさげな顔を加奈子に向け、そう言った。


「はあ? 何を言ってるのよ、美由紀ちゃん……」

「私は主賓じゃないし、みなさん帰っちゃったのに、図々しくないでしょうか?」


ランチの時はあんなに積極的だった彼女なのにどうしたことだろう、と加奈子は首を捻った。

実は美由紀は、酔ってもあまり陽気になる方ではなく、むしろ暗くなり、涙もろくなるタイプなのだった。