素敵な上司とキュートな部下

「あなた……」


すぐに咎めるように母親が言ったが、


「どうせ親が反対したって、言う事を聞くような娘じゃなかろう?」


と父親は言い、確かにそうね、と加奈子は心の中で頷いた。


「彼は若いがしっかりしているよ。目を見れば分かる」

「そんな事言っても、加奈子が苦労するのよ?」

「お母さん、それは大丈夫。今まで通りに働くだけだから、何も変わらないわ」

「学費は親に出してもらいますので、加奈子さんに頼る事には違いありませんが、衣食住に困る事はないと思います」

「それでいいの、加奈子は?」

「うん、もちろんよ、お母さん」

「それで、いつから一緒に暮らすのかね?」

「はい。出来れば来月から……」

「ずいぶん急なのね?」

「大輔は来月から大学に復学するのよ」

「そうなのね……」


と言った母親の表情は暗かった。


という事で、母親に不満は残ったものの、話は何とかまとまった。



その後、加奈子と大輔は予定通りドライブに出掛けた。


「いいご両親ですね?」

「そうかな。でも反対されなくてよかったわ」

「そうですね。来月からまた学生か……」

「がんばって、いいお医者さんになってね?」

「はい! ところで加奈子さん、どこへ行きますか?」

「そうねえ。特に行きたい所はないし、大輔のアパートなんて、どう?」

「というと、さっきの続きですね?」

「はっきり言わないで!」


と、ラブラブな二人であったが、その頃岩崎家では……