加奈子はすぐに下へ戻って来た。


「嶋田君、剛史が部屋に来てほしいんですって」

「あ、はい」

「お母さん。お茶とかは要らないからって言ってたよ」

「そうなの? 秘密の話でもするのかしら……」

「そ、そうかもね」


加奈子が小さく手招きすると、大輔は首を傾げながらも靴を脱ぎ、加奈子に続いて二階へ上がって行った。そして、剛史の部屋の前で立ち止まると、


「こっちよ」


と言って加奈子は大輔の腕を取り、自分の部屋に大輔を招き入れた。


「加奈子さん、先輩は……?」

「さあ? まだ寝てるんじゃない?」


と言いながら、加奈子はドアを閉めるとベッドにストンと腰を下ろした。


「困った事態になっちゃったなあ」

「加奈子さん、もしかして俺達の事、ご両親に話してないんですか?」


大輔も加奈子の横に腰掛けた。


「実はそうなの」

「どうしてですか?」

「だって、恥ずかしいんだもの……」

「何がですか?」

「8つも年下の大輔を、まるで私がかどわかしたみたいで……」


本当は香川を両親が気に入っている事の方が、加奈子が両親に言えない理由のメインなのだが、それを大輔には言い難い。


「加奈子さん……。年の事は言わない約束ですよね?」

「あ、そうだったわね。ごめんなさい」

「これはお仕置きです」

「え? あ、ん……」


加奈子は大輔に唇を奪われると、すぐに甘い吐息を漏らしはじめた。