「あら、嶋田さん」
「おはようございます!」
開いたドアの向こうに、今日も爽やかな笑顔の大輔が現れた。一時は痩せてしまった彼だが、今はすっかり元に戻り、アイドル顔負けの美青年だ。
大輔は母親から、その後ろにいる加奈子に視線を移し、ニコッと微笑んで
「か……」
と言い掛けたが、すぐにその口を閉じた。本当は“加奈子さん、お待たせ”と言おうとしたのだが、加奈子が“しー”と言うように、人差し指を口の前に立てていたからだ。
大輔が首を傾げていると、
「いらっしゃい。でも剛史はまだ寝てるのよね……」
と母親から言われ、
「あ、今日は……」
“先輩じゃなくて加奈子さんに会いに来たんです”と言おうとして、再び口を閉じた。加奈子がやはり“しー”と言っていたからだ。
「剛史は私が起こして来る!」
「いいわよ。あなたは出掛けるんでしょ?」
「い、いいの。それぐらいの時間はあるから。待ってて、嶋田君?」
加奈子は母親に気付かれないように素早く大輔にウィンクを送った。それが大輔に伝わったようで、
「は、はい……」
と言って頷く大輔を確認すると、加奈子は二階へダダっと駆け上がって行った。
「おかしな子ね……」
そんな加奈子を見やり、母親は首を傾げるのだった。
「おはようございます!」
開いたドアの向こうに、今日も爽やかな笑顔の大輔が現れた。一時は痩せてしまった彼だが、今はすっかり元に戻り、アイドル顔負けの美青年だ。
大輔は母親から、その後ろにいる加奈子に視線を移し、ニコッと微笑んで
「か……」
と言い掛けたが、すぐにその口を閉じた。本当は“加奈子さん、お待たせ”と言おうとしたのだが、加奈子が“しー”と言うように、人差し指を口の前に立てていたからだ。
大輔が首を傾げていると、
「いらっしゃい。でも剛史はまだ寝てるのよね……」
と母親から言われ、
「あ、今日は……」
“先輩じゃなくて加奈子さんに会いに来たんです”と言おうとして、再び口を閉じた。加奈子がやはり“しー”と言っていたからだ。
「剛史は私が起こして来る!」
「いいわよ。あなたは出掛けるんでしょ?」
「い、いいの。それぐらいの時間はあるから。待ってて、嶋田君?」
加奈子は母親に気付かれないように素早く大輔にウィンクを送った。それが大輔に伝わったようで、
「は、はい……」
と言って頷く大輔を確認すると、加奈子は二階へダダっと駆け上がって行った。
「おかしな子ね……」
そんな加奈子を見やり、母親は首を傾げるのだった。