「主任、そんなに悲しい顔しないでください」

「だって、嶋田君に会えなくなるんでしょ?」


たちまち加奈子の目から涙が溢れだしたが、大輔はその涙を指で優しく拭った。


「俺は主任と離れる気はないですよ?」

「そ、そうなの?」

「一緒に暮らせばいいじゃないですか?」

「一緒に?」

「はい。嫌ですか?」

「ううん。嫌じゃない」


加奈子は迷わず即答した。


「ここじゃ狭いかなあ」

「私は平気よ?」

「そうですか? あっ。俺、稼ぎがなくなるんだ。大学に復学して2~3年ですけど」

「それは大丈夫。私が養ってあげるから」

「やった! じゃあ決まりですね!」

「うふ。ずいぶん簡単に決めちゃったけど、いいのかしらね?」

「いいんじゃないですか?」


加奈子は大輔に抱き着き、大輔は加奈子の頭を愛しげに撫でた。


「なんだか夢を見てるみたいです」

「私も……」