「嶋田君、離れて?」

「え? どうしてですか?」

「だって私、汗をいっぱい掻いてるから……」

「そんなの平気です」

「私は平気じゃ、ん……」


抗議の途中で加奈子の口は大輔によって塞がれてしまった。もちろん大輔の唇で。


ブラウスのボタンを外され、大輔の大きな手が胸元に差し込まれた時、加奈子はその手を押さえた。


「お願い。シャワーを浴びさせて?」

「俺は平気ですけど、どうしてもですか?」

「うん。汗臭かったらイヤだから……」

「わかりました。じゃあ一緒に浴びましょう?」

「え?」

「俺、一瞬でも主任と離れたくないんです」

「それは嬉しいけど、一緒にって……」


大輔はいったん膝立ちになると、加奈子の脇に手を差し込み、軽々と加奈子を抱き上げた。


「ひゃっ。ほ、本気なの?」

「本気ですよ。主任は恥ずかしいですか?」

「うん……」

「大丈夫です。俺も裸になりますから」

「ますます恥ずかしいんだけど?」

「つべこべ言わない」


大輔は加奈子を抱き上げたまま、スタスタとバスルームへ向かって行った。


(嶋田君がこんなに強引な子とは知らなかったわ……。でも、男らしくていいかも)