素敵な上司とキュートな部下

「先輩は、ご飯もろくに食べてないんです」

「えっ?」


(だからあんなに痩せちゃったんだ……)


「会社を辞めるって言ってました」

「う、うそ!?」


(会社を辞めるって事は、もう嶋田君に会えないって事? そんなのイヤー!)


「もう3日目ですけど、先輩はすっかり無気力だから、きっと何も食べてないし、熱中症とかにもなって、死んじゃうかもしれません。もしかすると、既にもう死んじゃってるかも……」

「イヤー!」


思わず加奈子は大声で叫び、椅子から立ち上がった。


「先輩の所に行ってあげてください」

「そ、そうね。でも、まだ仕事が……」

「仕事なんかしてる場合ですか?」

「そ、そうよね。行くわ。今すぐ!」


慌てて喫茶室を出て行く加奈子の後ろ姿を見つめながら、美由紀は顔に苦笑いを浮かべていた。