加奈子は、香川との事を親友である志穂に報告し、彼女から祝福してほしかった。その事で迷いを吹っ切り、自分自身を納得させたかったのだ。


そのためには明るく、あるいは淡々とした調子で報告しなければいけないと加奈子は考え、そのつもりで来たのに、のっけに振り出しに戻された気がした。迷い、苦しんだ、昨夜の状態に……


加奈子がリビングに行くと、穂奈美を抱いてソファーにゆったりと座る祐樹の姿があった。


「いらっしゃい」

「あ、どうも、こんにちは……」


爽やか過ぎるほど爽やかな祐樹の笑顔を見、もちろん普段はそんな事はないのだが、今日は嫌だなあと加奈子は思った。大輔を思い浮かべてしまうから……


「穂奈美ちゃん、こんにちは」


と加奈子は穂奈美に声を掛けたが、穂奈美にプイと横を向かれてしまった。普段でも懐いてないのに、表情の暗い今日はそれも当たり前か、と加奈子は思った。