素敵な上司とキュートな部下

花火が終わり、会場を後にした4人はJR組と地下鉄組に別れた。すなわち加奈子と大輔、そして香川と美由紀という組み合わせだ。

その2組のテンションは全くの正反対だった。陽気な地下鉄組に対し、寡黙で暗いJR組。

別れ際、美由紀は大輔にすくってもらった金魚を手にぶら下げ、満面の笑みで大輔達に手を振った。香川は、美由紀のようにあからさまではないものの、つい頬が緩んでしまう、という感じだ。


大輔はいつになく暗く、香川の笑顔を見て、更に暗さを増していた。加奈子はと言うと……

陽気になっていいはずなのに、そうなれない自分に加奈子自身戸惑っていた。考えるべき事があるはずなのに頭はそれを拒否し、とにかく早く家に帰り、寝てしまいたいと思った。そして、大輔と二人になった事が気まずくてならなかった。


「主任……」


無言のまま電車に乗り込んだ二人だが、おもむろに大輔が口を開いた。


「は、はい」


大輔は花火の感想でも言うのだろう、と加奈子は予想したが、それは全くの見当はずれだった。


「部長に何か言われましたか?」