素敵な上司とキュートな部下

(ああ、言っちゃった……。本当に良かったのかな。なんて、今更考えても遅いわ。言ってしまったんだもの。でも……)


加奈子は返事をした今でも、まだ迷いがあった。それはもちろん、大輔の存在だ。彼への想いは断ち切らないといけないと知りつつも、まだそれが出来ない自分を加奈子は認めざるを得なかった。


「あ、あの……」

“やっぱりもう少し考えさせてください”

そう言おうとした瞬間、


「ほ、本当なんだね? 嬉しいよ。すごく嬉しい。ありがとう」


と香川に言われてしまった。そして香川は加奈子に向かって右の手を差し出した。


「改めてよろしく、って事で……」


香川は加奈子に握手を求めているらしい。加奈子は一瞬ためらったが、ゆっくりと手を出し、香川の大きな手をしっかりと握り、


「よろしくお願いします」


と言った。もう迷うのは止めよう、と自分に言い聞かせながら……