素敵な上司とキュートな部下

加奈子は考えた。香川と結婚すると言ったら、両親も剛史も志穂も、みんな祝福してくれるだろう、と。香川は結婚の相手としては、どこから見ても申し分のない男性なのだから。

職場のみんなも祝福してくれるに違いない。中には嫉妬する女子社員がいるかもしれないが。


(部長夫人、か……。まだピンと来ないけど、いい響きかも……)


「あの、部長?」

「ん?」

(ああ、ドキドキする……。でも、これでいいんだよね?)


「先ほどのお話ですが……」


そう加奈子が話を切り出すと、香川が緊張して息を飲むのが加奈子にも分かった。


「考えたのですが……」


と言ったところで、不意に加奈子の脳裏に大輔の顔が浮かんだ。拗ねて寂しそうにする大輔の顔が……

加奈子はその幻影を消したくて、目を閉じて頭を小さく横に振った。その仕草を拒絶と受け取った香川は、


「やはりダメなんだね?」


と言った。はっきりと落胆した様子で。


「ち、違います。私……お受けしようと思います」