素敵な上司とキュートな部下

どうしたのかな、と思って加奈子が香川を向くと、香川も加奈子を向き、もう一度ため息をついた。そして、


「こういう事は苦手で……」


と香川は呟いた。

(こういう事って……?)


「この間は嬉しかったよ?」

「はい?」


更に香川は意味不明な事を言い、加奈子は怪訝な顔をした。


「僕のマンションに来てみないか、と言ったら、君が“はい”と言ってくれた事さ」


加奈子はそれを聞き、思い出してハッとなった。香川が出張から戻った夜、別れ際に加奈子が生返事してしまった過ちを。


「ぶ、部長、あれは……」


あれはろくに話を聞かず、生返事をしたのだ、と言い訳しようとした加奈子だが……


「いいんだ。あれは酒の勢いで言った事だし、君は深く考えずに返事をくれたと思ってる。つまり、僕は真に受けてはいないから」


と香川は言い、加奈子は内心ホッとした。


「でも、君は僕に対して好意のような気持ちは持ってくれている。そう思っていいんだよね?」