素敵な上司とキュートな部下

「その場合……」


加奈子の思いをよそに、香川の話は続いた。


「女性の方が他の部署に異動されるか、退職する事になるのだが、僕は退職して主婦に徹した方がいいんじゃないかと思うんだ。古い考えかもしれないけどね」

「はあ……」


加奈子は咄嗟に思い浮かべた。会社を退職して専業主婦になり、家族と幸せに暮らす志穂の姿を……


「私もそう思います。古い考えかもしれませんが、少なくても私には仕事と家事を両立する自信はありません」

「そうか!? いや、そうですか? 良かった……」


なぜか香川は嬉しそうにし、加奈子はその理由が解からず首を傾げた。


その後、急に香川は黙り込んでしまった。静かになった代わりに、「そんなにくっ付くなって」「いいじゃないですかー」などという会話が美由紀達から聞こえて来て、加奈子はそれにイライラし、悲しくなってしまった。


しばらくして、「はあー」という香川のため息が聞こえた。