素敵な上司とキュートな部下

当然の如く加奈子と香川、大輔と美由紀のペアになって4人はシートに腰を降ろした。しかも左から加奈子、香川、美由紀、大輔の順で並んだので、加奈子から大輔の姿は見えず、声も微かにしか聞こえない。

これでは大輔と一緒に花火を観る事にはならないと加奈子は思い、がっかりした。


「岩崎君」

「あ、はい」


香川は加奈子の耳元に口を寄せ、小声で話し掛けて来た。おそらくは美由紀達に聞こえないように、という事だろうと加奈子は思った。


「隣の二人、お似合いだと思わないか?」

「それは……はい。でも……」


大輔と美由紀がお似合いな事は、今更香川に言われなくても嫌という程実感している加奈子だが、素直にそれを認めるのが悔しくて、少し抵抗してみたくなった。


「同じ職場でそういうのって、いいんでしょうか?」


言ってから、嫌な事を言ってしまったと後悔した加奈子だったが、


「僕は構わないと思うよ」


事も無げ、といった感じで香川は答えた。


「うちの会社は社内恋愛を禁じてないからね。と言ってもさすがに結婚するとなると、同じ職場という訳には行かないけどね」


(け、結婚……!?)


着飾った大輔と美由紀が、教会で並んで立つ光景を思い描き、加奈子は胸が締め付けられる思いがした。