素敵な上司とキュートな部下

「嶋田君って恰好いいわ……」


大輔と剛史が二階へ上がるやいなや、母親は目をうっとりさせてそう呟いた。


「ね、加奈子もそう思うでしょ?」

「ん……まあね」


本当は“まあね”どころではないのだが、何かと小うるさい母親に、自分の気持ちを感づかれてはいけないと思い、加奈子はわざと気のない素振りをした。


「あんたがあと10才若かったらね……」

「違うわよ。彼とは8つ、ううん7つ違いなんだってば……」

「同じようなものでしょ?」


事も無げな言い方に加奈子がムッとしていると、更に追い討ちをかけるように、


「歳だけの問題じゃないわね。彼、モテるんでしょ? 競争率高そう……」


と言われた。


「何を言って……」


加奈子は“何を言ってんのよ!”と文句を言おうとして、その口をつぐんだ。母親の言う通りだと思ったからだ。


(私ったら、歳の事ばかり気にしてたけど、それ以前の問題なんじゃ……。所詮、嶋田君と私じゃ釣り合わないんだわ……)


胸の中で膨らんだ大輔への想いが、急激に萎んで行くのを加奈子は感じた。まるで紙風船に穴が空いたかのように……