素敵な上司とキュートな部下

大輔が家に入ると、彼を見た加奈子の母親は、ハッと息を飲んだ。大輔がアイドル顔負けの容姿の持ち主であり、しかも好みのタイプど真ん中だからだ。実は加奈子の男性の好みは、この母親譲りなのだった。


「おじゃまします」

「い、いらっしゃい。どうぞお掛けになって? あら? 剛史は? 剛史はどうしたの?」

「私が呼んで来る」

「そ、そうね。そうして頂戴。私はお飲物を用意しなくっちゃ」


さっきまでは何の興味も示していなかったのに、急に慌てふためく母親に苦笑いを浮かべ、加奈子は二階へ上がって行った。


剛史の部屋のドアをコンコンとノックすると、すぐに中から「おお」と返事が返って来た。どうやら起きてるらしい。


「剛史、嶋田君が来たから下りて来て?」


ドアを小さく開けて加奈子が言うと、まだ寝起きっぽい剛史は、「おお、わかった」と返して来た。それでドアを閉めようとした加奈子だったが、


「姉貴?」


剛史に呼び止められてその手を止めた。


「なに?」

「顔が赤いけど、どうかしたのか?」

「そ、そうかな?」

「ああ。目は潤んでるし、熱でもあるんじゃねえの?」

「それはないと思うけど……。早く来てね?」

「わかった」


加奈子は自分でも顔の火照りを感じていた。それはもちろん熱があるからではない。


(はあ……。どうしよう……)