素敵な上司とキュートな部下

日曜日の昼過ぎ。加奈子はそわそわして、何かしようにも何も手に付かない状態だった。なぜなら、もう間もなく家に大輔が来るはずだから。


大輔が家に来たがっている事を弟の剛史に告げたところ、土曜は友人宅へ出掛け、しかも帰りは遅いとの事で、大輔には日曜の午後に来てもらう事になったのだ。


ちなみに剛史は昨夜、というよりも今朝方帰って来て、その後部屋から出て来ない。たぶんまだ寝てるのだろうと加奈子は思っている。


「何をそんなにそわそわしてるの?」


そんな加奈子の様子に、テレビを観ていた母親が呆れ顔で言った。


「別にそわそわなんか……」

「してるでしょ? さっきから立ったり座ったり、落ち着きがないったらありゃしない」

「うるさいな……」

「その人、剛史に会いに来るんでしょ? どうして加奈子がそわそわするのよ?」

「だから、そわそわなんか……」


そう言いながらも、加奈子は立ち上がってレースのカーテン越しに外に目をやっていた。


「あ、来た!?」


とその時、見覚えのあるシルバーメタリックの、車高の低い車がゆっくりと加奈子の家の門をくぐって来るのが見えた。そしてその運転席に座るのは、間違いなく大輔その人だった。

加奈子はそれを確認すると、小走りで玄関へと向かった。


加奈子がそわそわするのには訳があった。もちろん大輔が家に来る事自体もその理由ではあるが、ある思い、というか決意が加奈子にはあったのだ。