素敵な上司とキュートな部下

さっきまではやたら元気で明るかった大輔だが、今はすっかり静かになり、時折ため息なんかもついていた。そしてそれは、加奈子も同じだった。二人の前の料理はあまり減らず、ワインだけが飲まれていった。


「帰りましょうか?」

「そうね……」


ボトルのワインを飲み干すと、二人は店を後にし、駅への道を並んで歩いた。


蒸し暑い夜で、アルコールを飲んだせいもあるが、少し歩いただけで汗が滲み出て、服が肌にまとわり着くのがなんとも気持ち悪い。

富士山へドライブしたあの日も暑かったが、あの日の暑さと今夜のそれでは全く性質が違うと、奇しくも二人は同じ事を考えながら無言で歩いていた。


同じ電車に乗り、並んで吊り革に掴まると、冷房の風が肌に心地良く、先程までの不快さが徐々に薄れて行った。


「主任、今度お宅に伺っていいですか?」

「う、家に? どうして?」


急な大輔の問い掛けに、思わず面食らう加奈子だった。