素敵な上司とキュートな部下

「えっ? 行くの?」

「行きますよ?」

「どうして? だって、人混みは嫌いだって……。定時に上がるのも難しいんでしょ?」

「そんなものは何とでもなりますよ。もちろん主任も行くんですよね?」

「それは、まあ……」

「だったら行きますよ。何がなんでも」

「そう? でもね……」

「“でも”って、何ですか?」

「桐谷さんも行くのよ」

「き、桐谷も? なんであいつが……?」

「元々あの子が言い出しっぺだから……」

「ああ、そういう事ですか……」


大輔の声のトーンは急激に下がり、明らかにテンションが下がってしまった。


「やっぱり止める?」

「いいえ、行きますよ。男に二言はありませんから。で、もう1人は誰なんですか?」

「え?」

「チケットはペアですよね? という事はもう1人加えて4人で行くんでしょ?」

「あ、そうよね? でも、まだ決まってないと思う」

「じゃあ、部長なんかどうですか?」

「部長って、香川さん?」

「はい」

「それはないんじゃない? あの人は忙しい人だし、花火を観に行くってタイプでは……」

「確かにそうですが、主任が誘えば行くんじゃないかな」

「どうして?」

「どうしてって言われても……。試してみたらどうですか?」

「うん……他にいなかったらね?」


『俺って、バカだよなあ……』

と大輔は呟いたが、加奈子の耳には届かなかった。