素敵な上司とキュートな部下

「大した話じゃないの。今度花火大会があるでしょ? うちの会社が協賛してる……」

「はい、そうですね。毎年恒例ですからね」

「嶋田君は行った事あるの?」

「え? ないです。なかなか定時で上がれないし、僕、人混みってあまり好きじゃないんです」

「そう? 実は私もなんだ……」

「そうですか。で、その花火大会がなにか?」

「うん、それがね……」


大輔の様子では言っても無駄だなと加奈子は思った。しかし、例えそうだったとしても、一応は言ってみないといけない。そうでないと、美由紀に説明がつかない。


「今年はどうかなと……」

「え? それって、もしかして……お誘いですか!? 僕に、花火を観に行こうって、主任から!?」


大輔は、声を大きく張り上げた。周りの客の視線を集める程に。加奈子の弟が高校の先輩と知った時より、大きな声だった。


「嶋田君、そんな大きな声出さなくても……」

「あ、すみません。で、そういう事ですか?」

「まあ、一応ね。たまたまチケットが……」


“チケットがあるから聞いてみただけ”と加奈子は言うつもりだったが、その声は、


「行きます! 行きましょう!」


大輔の大声でかき消されてしまった。